第134回現代俳句協会青年部勉強会
「変態俳句―異常ないし病的であること」アンケート結果
①寒の夜いったんもめんと添い寝する 笛地静恵(ふえちしずえ)
・変態の生物学の定義に、「動物が卵から孵化した後、成体になるま でに、時期により異なる形態をとること。」とありました。この句も、異なる形態をとるのが、気持ち悪いので。
・Sufy
②欠伸猫の歯ぐきに浮ける蚤を見し 原月舟
・生理的な嫌悪感を与える「異常さ」という意味で「変態俳句」に選んだ。猫を可愛く詠んだ句はいくらでもあるかもしれないが、この句はぞくぞくとする。掲句は些末な客観写生句としてよく取り上げられるが、「異常感覚」の句と読んでもいいのではないだろうか。
・涼野海音
・俳句同人誌「自殺」第53号
・他言語に翻訳すると竜が存在しない季語を更新するから
④なま白き初日抽斗半びらき 渡戸舫(わたと・もやい)
・「変態」を「異質なるもの」と考える場合、それはきわめて気持ちの悪いものだ。掲句は上五の表現や抽斗の様子など、まるで嫌がらせのようにきわめて気持ちが悪い。同時に、きわめて優れた俳句である。以上です。よろしくお願いいたします。
・澤田和弥
・「初鴉」
・変態性とは「それに触れた他者をその意志および好悪の感情とは無関係にうっすらと共感せしめる性質」だと考えます。その意味で俳句は全て変態的ですが、特に共感に寄りかかっていると思うこの句を例として選びました、・生駒大祐
・『六福神』(H26年1月)
・谷崎潤一郎の『鍵』『瘋癲老人日記』を連想させる、老人の性欲をストレートに表出した句なので。命の延びるような思い、即ち生きる喜びが描かれてるということは、至極健康的な句なのかもしれないですが…。
・いずみ
⑦宝龍寺「柿喰え」「バカね」鐘が鳴る 一色於虹
・子規の名句、法隆寺の変態形。この句がいったん脳内に侵入すると、本家「柿くへば~」の韻律に接するたびに極めて滑稽なフレーズ転換を起こしてしまい、果ては結社レベルにまで到達して浸食する権威殺しとも呼べるふしぎな脱力感としての崩壊性を持つ。またこの変態俳句は、定型の俳句フレームを借りた世界最短の新しい小説形式でもある。
・ヘンタイひとすじ55年
・『超新撰21』
・五七五や季語など、様々な不自由さがあり、それを楽しむ俳句は、一種の拘束プレイだと思っている。その拘束された型の中で、「纏足」を「バナナの皮」で包むという粘着質な感覚が、最も変態性を感じた。
・「都市」同人 栗山 心
自作です。完全変態の句です。
・「シリーズ俳句世界第1号 エロチシズム」
(平成8年8月発行、雄山閣出版株式会社「エロチシズム俳句100選 村上護選」から)
・変態というにはちょっとおとなしいかもしれませんが、緊縛ならSM、SMなら変態ということで。浮世絵みたいな綺麗な情景で言葉も美しいのがよいと思いました。(変態度の高い俳句がみつけられませんでした。)
・陰山恵
・「変態」とは、極端な嗜好のことと考えております。極端だけど日常的なもの。そして極端であればこそ、その人にとって「起爆剤」たり得るものだと思います。たとえば有名な北斎の蛸。蛸を股間に吸い付かせる行為は変態かもしれないけれど、あの絵を見て処女がドキドキすることも十分起こり得る訳で、その時処女の中で起こっているエクスプロージョンを私は非常に美しいと思います。そういう瞬間を句に詠むということは非常に意義があると考えております。
⑫散りしぶる牡丹にすこし手を貸しぬ 能村登四郎
・嗜虐的かつ紳士的かつ押し付けがましくてエロいので。
・石原ユキオ
(・句/作者 ・出典 ・選んだ理由 ・回答者氏名俳号等)
※敬称略。回答者名のないものは自作句。
0 件のコメント:
コメントを投稿